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Vol.116 1億総写真家時代?

 

1.はじめに

 皆さんは普段、写真を撮っていますか?
 フィルムカメラ時代、デジタルカメラ時代を経て、今では「カメラ」はスマートフォンの一機能として当然に備わっているものとなりました。
 情報通信業の発達もあいまって、誰でも写真を撮り、簡単に発信できる時代です。
 今回は、データをもとにこれからの「写真を撮るということ」について考えていきたいと思います。

 

2.カメラの歴史

 カメラの歴史は1000年前にまで遡ります。
 カメラは元々、四角い箱(あるいは部屋)に小さな穴を開けただけの、転写機に近いものでした。
 小さな穴(ピンホール)を通った光が、反対側の黒い内壁に像を結ぶ。
 画家がこの箱の中に入り、壁に紙を貼り、映っている像を描き写す。
 これによって、実際の光景とそっくりの下絵をつくるという使い方がされていました。

 「暗い小部屋」を意味する「カメラ・オブスクラ」。これがカメラの始祖であるといわれています。

 ピンホールを利用したこの仕組みは、今から1000年も前に発見されていました。
 私たちの思い浮かべる「カメラ」になるのは、それから800年もあとのことです。

 長い期間を経て、カメラは進化していきます。
 ピンホールの代わりにレンズが使用されるようになり、手動でのトレースからフィルム等への焼付けへと代わっていきました。

 近代では馴染みの深いデジタルカメラですが、普及し始めたのは1990年代中頃。
 携帯電話にカメラ機能が備わったのが2000年ということも考えると、「デジタル」の歴史はまだまだ浅いといえるでしょう。

 しかしながら、この30年という短い期間で、カメラは私たちにとって大きな進化を遂げることとなりました。

 

3.カメラが生活に馴染んだ理由

 いくつかの大きな進化により、カメラは私たちの生活に馴染むようになりました。

 原初のカメラでは、装置の準備が大掛かりなこともあり、その場ですぐに写真を撮るのは不可能でした。
 フィルムカメラ時代に突入し、多少の軽減はされましたが、

・撮影に多少の技術や知識を要する
・撮影した写真をその場で確認できない
・撮影後、現像にコストがかかる

などの問題を抱えたままでした。

 それら諸問題を解決したのが、デジタルカメラです。

 デジタルカメラは細かな設定を自動で行うため、その場でとりあえずシャッターを切るだけで、ある程度綺麗な写真が撮れ、しかもそれをその場で確認することができます。

 また、使い切るごとに現像に出し、都度コストがかかっていたフィルムに比べると、デジタルカメラは何度でも簡単に撮影でき、かつノーコストであるため、私たちは気軽に写真を撮ることができるようになりました。

 携帯電話のカメラは小型であり、また常に携行するものであるため、思いついたときに「いつでも」「簡単に」撮影することができます。

 こうした即時性や簡易性が、写真が生活に馴染んだ大きな理由であるといえます。

 

4.趣味としての写真

 写真を気軽に撮影できるようになった現代。
 間口が広がったぶん、写真人口は増えたのではないか?という疑問が浮かびます。
 そこで、年齢別に趣味として写真を撮影している行動者率の推移を調査しました。

 下記のグラフは、自由時間に趣味・娯楽活動に興じる人間のうち、「写真の撮影・プリント」を行っている人口の比率です。

 

図1 自由時間等における「写真の撮影・プリント」行動者率(単位:%)

図1 自由時間等における「写真の撮影・プリント」行動者率(単位:%)
(出典:総務省統計局「社会生活基本調査の結果」)

 

 「写真撮影・プリント」の行動者率を見ると、50代以上が過去と比較して高くなっています。
 写真撮影のデジタル化に加え、カメラを搭載した携帯電話の普及による「即時性」「簡易性」の向上によって、自由時間の使い方として取り組みやすい趣味となったことが考えられます。

 一方、もっとも気になるのは若年層の行動者率です。
 20代から40代は、10年間でゆるやかに逓減しています。
 男女別に推移を確認してみると、顕著な結果が出てきます。

 

図2-1 男性の自由時間等における「写真の撮影・プリント」行動者率(単位:%)

図2-1 男性の自由時間等における「写真の撮影・プリント」行動者率(単位:%)
(出典:総務省統計局「社会生活基本調査の結果」)

 

図2-2 女性の自由時間等における「写真の撮影・プリント」行動者率(単位:%)

図2-2 女性の自由時間等における「写真の撮影・プリント」行動者率(単位:%)
(出典:総務省統計局「社会生活基本調査の結果」)

 

 男女において顕著な差が見られるのは、20代~40代の分布です。
 男性は全年齢に対して一定数の写真行動者が存在するのに対し、女性の場合は30代をピークとしてゆるやかに比率が低減していきます。

 時系列で見ると、特に男性の20代~40代の行動者率が逓減しました。
 平成18年当時に全盛期だったコンパクトデジタルカメラの衰退が一因として考えられます。

 「趣味として写真撮影を行う男性が少なくなった」といってもよいかもしれません。

 簡単に綺麗に写真が撮れるようになったからといって、写真を趣味とする人口が増加するというのは早計であったことがわかります。
 むしろ総数でいえば、趣味として写真を選択する方の割合は低下しているといえます。

 

5.生活のなかの写真

 とはいえ、日常生活の至るところで、私たちは写真を撮る若者を見かけます。
 どこのメーカーの携帯電話のカメラの画質がいいのか、どのアプリを使うと自分を綺麗に写すことができるのか、など、写真に関する話題もよく耳にします。
 また、最近「インスタ映え」などの話題で注目されている、写真投稿サービス「Instagram」の利用者は、サービス登場以来ユーザ数が増え続けています。

 下記はSNS利用者のうち、Instagramを利用していると答えた人口の割合です。

 

図3 SNSサービス「Instagram」利用率(単位:%)

図3 SNSサービス「Instagram」利用率(単位:%)
(出典:総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)

 

 Instagramは「Instant」「Telegram」を掛け合わせた造語です。

 日本語に置き換えれば「即席の電報」というところでしょうか。

 写真をその場で手軽に撮影し、手軽にアップロードできるのが本サービスの魅力です。
 写真掲載のサービスはいくつもありますが、その中でもこちらは、気兼ねなく簡単に投稿できるよう特化されたものです。
 投稿されるコンテンツも、一般的な写真投稿サービスにあるような風景写真やポートレイトだけでなく、その日の自分のコーディネイトや友人との記録、立ち寄った店舗や飲食物など、どちらかといえばライフスタイルに寄り添ったものが多いのが特徴です。

 こうした「気軽さ」が携帯電話のカメラでの写真撮影と相性がよく、特に20代を中心に、幅広い年代に利用されています。

 かつて趣味のカテゴリのひとつであった写真は、現代では日常生活に驚くほど馴染んでいます。
 趣味である、とまでいかないにせよ写真は撮る。そんな方も多いのではないでしょうか。

 

6.おわりに

 30年という短い期間で、「誰でも」「いつでも」「気軽に」「簡単に」写真を撮ることができるようになりました。
 「写真を趣味とする人口」は減少傾向にありますが、写真そのものへの関心は
むしろ高まっていく一方です。

 誰もが写真を撮る時代である、といえる現代。
 これからも、世には沢山の写真があふれていくことでしょう。

 趣味として、記録として、あるいはライフスタイルの表現として。
 たくさんの選択肢が広がる中で、あなたはどんな写真を撮りますか?

 

(出典一覧)

カメラ ・オブスクラ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/カメラ・オブスクラ

総務省統計局「平成18年社会生活基本調査の結果」
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2006/index.html

総務省統計局「平成23年社会生活基本調査の結果」
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/index2.html

総務省統計局「平成28年社会生活基本調査の結果」
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html

総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000073.html

 

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