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Vol.115 あなたの母校はまだ残っていますか?

 

 皆さんは年始年末をどのように過ごされますか。
 休みを利用して帰郷し、年越しをされる方もいらっしゃるかと思います。
 日頃なかなか会うことのできない旧友と同窓会を開くことも多いのではないでしょうか。
 ところで、そんな人間関係を築いたあなたの母校はまだ残っていますか?
 ちなみに筆者の通っていた中学校・高等学校は統廃合によりなくなってしまいました。
 高等学校にいたっては校舎も取り壊され跡形もありません。
 自分の母校についてのその後は見聞きしているかもしれませんが、他の廃校が今どのように利活用されているのか気になりませんか。
 今回は廃校の状況と利活用について少し紹介したいと思います。

 

1.廃校の現状

 まず、平成28年に行われた文部科学省の「廃校施設活用状況実態調査」から廃校の現状をみていきたいと思います。
 調査対象は全国の公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校です。
 廃校の利活用は既存施設の利用が主流です。
 その他に既存の施設を解体撤去、校庭などの空き地部分に新たに施設を整備する方法や既存施設を解体撤去した跡地や校庭等の土地を新たな用途として活用する方法があります。
 今回は施設が現存している廃校についてみていきたいと思います。

 廃校全体(5,943校)の70.6%(4,198校)は活用されており、活用されていない廃校(1,745校)のうち18.0%(314校)は活用の用途が決まっています。
 残りの72.2%(1,260校)は活用の用途が決まっておらず遊休施設となっており、9.8%(171校)の廃校は取壊しが予定されています。
 多くの廃校は利活用されているようですが、全体の21.2%(1,260校)もの廃校の用途が決まっていない現状があります。

図01_施設が現存している廃校の活用状況

 活用の用途が決まっていない主な理由は「地域等からの要望がない」「施設が老朽化している」です。
 しかし、約半数の廃校が地域住民からの意向聴取を実施していないとのことでした。

図02_活用の用途が決まっていない理由(複数回答)

図03_地域住民からの意向聴取の状況(複数回答)

 活用に向けた公募は、地方公共団体のホームページ・広報誌等で行うことが多いようです。
 その他に文部科学省が立ち上げた~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクトの利用もみられます。
 このプロジェクトは、廃校施設等の活用方法を検討しているが活用先が見つからない地方公共団体が廃校施設等の情報を掲載し、廃校施設等を活用して事業をしたいが活用できる廃校施設等が見つからない活用希望者とのマッチングをはかるといったものです。
 しかし、多くの廃校について全く公募をしていないというのが現状です。

図04_活用に向けた公募の実施状況(複数回答)

 

2.利活用の用途

 主な活用用途は次のとおりです。

 学校(大学を除く)への利活用は1,609校と最も多く、廃校後も別の学校として利活用されることが多いようです。
 次いで「社会体育施設」への利活用が1,015校、「社会教育施設・文化施設」への利活用は675校となっています。
 424校の「福祉施設・医療施設等」には老人福祉施設・障害者福祉施設・保育施設・認定こども園・児童福祉施設(保育所を除く)・放課後児童クラブ・放課後子供教室・医療施設が含まれます。

 

図05_H27主な活用用途(複数回答)

 

3.利活用の実例

 以前、昭和40年に廃校になった木造校舎の小学校の旧職員室部分を活用した喫茶店に行ったことがあります。
 昭和のノスタルジックな雰囲気が漂っており、ゆったりとした時間の中でコーヒーとケーキをおいしくいただきました。
 このように実際訪れることのできる施設も多く、中には驚きの再生を遂げた廃校もあります。
 政府広報「特集;廃校Re活用」に掲載されている実例で、個人的に気になった施設をいくつかご紹介したいと思います。

 

タイトル01_IID世田谷ものづくり学校

 「ものづくり事業者へのオフィス提供、創業支援、ものづくり体験と交流の場の提供などを行う」複合施設として再生しました。

 某ドラマにでてきた施設が実在した!
 シェアオフィスのモデル・ロケ地になったのがこちらの施設だそうです。
 実在することを知って感動しました。

 

タイトル02_むろと廃校水族館

 「廃校になった校舎とプールを活用したミニ水族館」として再生しました。

 廃校が水族館に変身!
 「漁港までの距離が近く、運搬時の魚へのストレスが少ないため、通常の水族館では運ぶのが難しい種類の魚」にも会うことができるそうです。
 公式のTwitterを拝見しましたが、2018年10月には来場者が10万人を突破したそうです。

 

タイトル03_天空の楽校

 「標高550メートルの絶景ポイントにあり、豊かな自然と美味しい湧水が魅力」のカフェとして再生しました。

 廃校が2度目の再生!
 宿泊施設を経てカフェに再生したそうです。
 廃校のカフェという特別な場所で食事ができるだけではなく、絶景も堪能できる一挙両得な施設です。

 

タイトル04_かたくりの宿

 「平家の落人伝説」が残る、「秘境秋山郷」に宿泊施設として再生しました。

 秘境の学校に宿泊できる!
 小学生のとき、学校でお泊まり会はありませんでしたか?
 遠い記憶のため詳細は覚えていませんが、ワクワクしたのは覚えています。
 校舎内のどこがどのように宿泊施設として再生したのか興味深いです。

 

タイトル05_網小医院

 「島民が流出するのを、防いだ病院」として再生しました。

 廃校が医療施設に!
 どこにいても身近に頼れる医療施設があるのは心強いことだと思います。
 もしも通っている病院が、子供時代に通っていた懐かしい校舎だったら…と思わず想像してしまいました。

 

4.さいごに

 施設の状態にもよりますが、廃校は様々な形で再生することが可能のようです。
 本来の使命を終えた学校は第二・第三の歴史を歩み出しています。
 現在用途の決まっていない廃校も、地方公共団体・地域住民・民間事業者の連携によって魅力ある施設に再生することを期待します。

 

<出典>

・文部科学省「廃校施設活用状況実態調査の結果について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/01/1381024.htm

・文部科学省「~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/1296809.htm

・政府広報「特集;廃校Re活用」
https://www.gov-online.go.jp/cam/haikou/top/index.html

・むろと廃校水族館
Twitter https://twitter.com/murosui_kochi

・天空の楽校
https://www.tenku-school.com/

・秋山郷結東温泉かたくりの宿
http://www.tsumari-artfield.com/katakuri/stay/

 

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